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川崎憲次郎のセカンドキャリア〜ベースボールロス〜

【セカンドキャリアインタビュー】
今回は、ヤクルトスワローズなどで活躍し、1998年には最多勝利投手として沢村賞にも輝いた元プロ野球選手、川崎憲次郎さんに”コロナ禍における現在の活動状況”や”セカンドキャリアに関する悩み”についてお話を伺いました。

—まず1つ目の質問です。現在のコロナ禍における活動状況を教えてください。

川崎さん:仕事に関してはやっぱり激減してますし、固定給がある訳でもないのでかなり厳しいですよね。仕事の単価も安くなって、本数も少なくなっているので以前とは全然違います。

大分でも仕事の予定はしてますけど、予定が”未定”のスケジュールが多いですし、緊急事態宣言が出てしまえば、東京の仕事をキャンセルすることも多いです。それはこっちからキャンセルせざるを得ない状況ですから。東京に戻れてもまた大分にしばらく戻ってこれない、帰って来れないとなってしまうことが多いので仕事がなくなってしまったり。やっぱり今は移動が伴う仕事は厳しいですよね。

—他の元プロ野球選手の方々も同じような状況で苦しまれてる方は多いですか?

—ただ、僕たちも去年からオンラインでイベントはやらせて頂いてますけど、なかなか浸透しきれてない部分はありますよね。

川崎さん:ある意味こういうのって応急処置みたいなものですからね。実際は、ライブ(リアル)に勝るものってないじゃないですか?やっぱり去年も開催した「リアル居酒屋憲次郎」ってめちゃくちゃ盛り上がりましたもんね。実際リアルで会って、”顔を突き合わせて話をする”っていうのは結局みんなが求めていることなんですよ。今日もオンラインのイベントに参加してくれた人たちだって、本当はリアルで会いたいと思いますよ。何よりも僕がそうですから(笑)。それが簡単にはできない状況なので、どうにか早く収束してほしいと思っています。

昨年開催した「リアル居酒屋憲次郎」

—コロナ禍の状況が、現役の野球選手に与える影響は大きいですか?

川崎さん:球場に来てくれるお客さんが激減してるわけですからね、メンタル面の影響はかなり大きいと思います。満員のお客さんがいれば、応援や歓声も大きいし、大きな拍手もあって、叱咤激励もある。やっぱり人に見られる仕事ですから、僕達って。どれだけの多くの人に見られるか?は、モチベーションを保つ上でも一番大事な部分なので、今の選手にとっては相当影響はあると思いますよ。

—特にプロ野球は長いシーズンですから、モチベーション維持が難しそうですね。

川崎さん:やっぱプロだから人に見られたいんですよ、みんな。ワーワー歓声も浴びたいし、キャーキャーも言われたい。お客さんがいなかったら、室内練習場で黙々と野球やってるのに近いですからね、寂しいですよ。ただ、今は少しづつお客さんも球場に入り始めているので、拍手だけでも選手にとってみれば本当に嬉しいことだと思いますよ。お客さんがいる、いないでは大きな違いです。

—セカンドキャリアの話になりますが、引退後川崎さんが一番苦労された事はなんですか?

川崎さん:引退してすぐっていうのは、貯金も少しはあったので、特別生活する上では困ることは多くなかったです。ただ辞めてから何をしたらいいのか?何を目指せばいいのか?は本当にわからないので、悩みますよね。

いろんな方面からもお仕事の声はかけてもらいましたけど、何かいまいちやる気が起きなかったというか、ピンと来なかったんです。それはベースボールロスっていう言葉が正しいかどうかわからないですが、一種の燃え尽き症候群なんですかね?でも、辞めてから17年目に入るとさすがに貯金だって減ってきますし、特にコロナ禍では相当苦労しますよね。

現役選手のうちは良いんですけどね..でも、これからはさらに時代の変化も激しいでしょうし、働き方も変わっていくでしょうし、僕たちが引退してすぐに解説やテレビの仕事をしていた時代とは全く違ってくると思います。

今後引退する人は、自分から取りに行かないともしかしたら仕事が全然来ない可能性だってありますし、世の中も特定の企業以外は儲からなかったり、どんどん人を切る方向に行くかもしれない。そういう意味では、これから自分で何をやるか?精神的にも金銭的にも余力があるうちに、最低でも引退してから3年以内には、何をやるか決めといたらいいかもしれないですね。ある程度の方向性だけでも決めておくと良いと思います。

—GG佐藤さんも同じような事を言われていました。「引退してからやりたいことが本当に見つからない」と。共通して皆さん苦しまれてるのですね。

川崎さん:だと思いますよ。例えば野球やってる時っていうのは、プロ野球選手になるためには?夢を叶えるためにはどうすればいいか?っていうのだけ考えて生きてきたので。僕の場合、そこからプロ野球に入って、16年やらせてもらえたわけですから。小さい頃から抱き続けた夢を叶えてしまった後は、ドリームロス。次の目標や夢を見つけないといけないと頭では分かってはいるんですが、それが中々難しいんですよね。

—今、夢中になっていること、これからチャレンジしたいことは何かありますか?

川崎さん:SNSを工夫しながら発信したり、YouTubeを見ながら、内容の検討をしています(笑)。でも僕は野球チャンネルはあまりやらない方が良いのかなぁ…僕がやると真面目すぎて面白くないから(笑)。

もし、野球に関わることであれば、例えば野球をやったことがない子供や女性にキャッチボールを教えて、1時間後の動きの変化を見てもらったり、投げる楽しさを知ってもらって喜んでる姿を見てみたいですね。でも、これも専門的すぎて面白くないだろうなぁって自分で思うんです(笑)。

結局、何をやればいいのか?それはもうYouTubeに限らずずっと考えてますよね。10年ぐらい前からずっと考えてるだけあって、アイディアはたくさんありますよ(笑)。

だから今は”アイデアを考える”のが仕事なのかなぁとも思っています。ビジネスモデルだったり、イベントのアイディアだったり、地方をどうやって盛り上げるか?だったり。アイディアを考えるのは好きなので。

これからも変化を嫌う事なく、チャレンジする気持ちも忘れず、自分なりの新しい夢や目標は見つけていきたいですね。

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